賃貸管理

公開日:2026/8/29|執筆:弁護士 末安陸斗

滞納が3か月分に達した。オーナーからは「早くなんとかしてほしい」と言われている。内容証明を送って明渡しに進むしかない――その判断自体は正しいことが多いのですが、送る前の準備で、その後の手続の速さが大きく変わります。管理会社としてやっておくべきことを3つに絞って説明します。

なぜ「3か月」が目安なのか

賃貸借契約を家賃滞納で解除するには、貸主と借主の信頼関係が壊れたといえる事情が必要です。裁判実務では、おおむね3か月分の滞納がその目安とされています。1〜2か月分の滞納で解除を通知しても、裁判所は解除を認めない可能性が高く、通知が空振りになります。

逆に、3か月分を超えているなら、解除の要件はそろいつつあります。ここからは「要件を証拠で示せるか」の勝負です。

その1――督促の記録を時系列で整理する

裁判で信頼関係の破壊を示すのは、滞納額だけではありません。「何度督促しても支払わなかった」という経過が効きます。電話をかけた日時と相手の返答、訪問した日、送った書面。担当者の記憶やメモ帳に散らばっているものを、時系列の一覧にしておいてください。

この一覧は、訴訟になったときの証拠になるだけではありません。弁護士に相談する際にこれがあると、初回相談のその場で見立てが出せます。逆にないと、経過の確認だけで数日かかります。

その2――連帯保証人に今の滞納額を知らせておく

連帯保証人への請求を後回しにしている管理会社は少なくありません。しかし保証人は、滞納が積み上がってから突然100万円単位の請求を受けると、ほぼ確実に「なぜもっと早く教えてくれなかったのか」と反発します。実際、賃借人が支払を怠っていることを保証人が問い合わせれば、貸主側には情報提供の義務もあります。

滞納の早い段階で保証人に現状を通知しておくと、保証人が本人に支払を促してくれて解決する例が実際にあります。解決しなくても、後の請求がスムーズになります。

その3――「実力行使はしない」を現場で徹底する

滞納者への対応で最も危険なのは、無断での鍵交換、室内立入り、荷物の搬出です。契約書に「滞納時は鍵を交換できる」という条項があっても、裁判ではその条項自体が無効とされ、管理会社側が損害賠償を命じられた例があります。

内容証明を送る直前の時期は、現場の担当者の苛立ちも溜まっています。「明渡しは必ず法的手続で行う。鍵と荷物には触らない」を、この段階で改めて社内に確認しておいてください。せっかく解除の要件がそろっていても、こちらの実力行使が先にあると、立場が逆転しかねません。

準備ができたら、内容証明はプロの文面で

3つの準備がそろったら、内容証明で滞納額の支払を催告し、支払がなければ契約を解除する旨を通知します。この文面は、催告と解除の条件設定に法律上の細かい注意点があり、弁護士名で送ると回収率も変わってきます。当相談室では、不動産会社様からの初回のご相談を無料でお受けしていますので、内容証明の段階からご相談ください。

不動産会社様からの初回のご相談は無料です

「この案件、弁護士に頼むほどか分からない」という段階で構いません。動き方の当たりを付けるだけでも、お役に立てます。

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